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絵画作品

転法輪印 キューバ(鳳凰)

物語り

この作品は、世界のさまざまな土地に生きる女性たちを、同じ「転法輪印」を結ぶ姿で描いた I Wanna See You シリーズの一作です。

転法輪印は、仏教において釈迦が教えを説くこと、「法輪を転ずる」ことを象徴する手印です。

私はこの手印に、人と人とが言葉を交わし、互いの世界を知ろうとする姿を重ねてきました。

私たちは異なる国に生まれ、異なる言語を話し、異なる宗教や文化、環境の中で育ちます。

けれど、同じ時代に、同じ星の上で生きている、同じ人類というひとつの種でもあります。

私とは違う場所で生きるあなたは、どんな世界を見ているのだろう。
あなたに会って、話をしてみたい。

そんな思いから、このシリーズを描いてきました。

この作品では、キューバに生きる一人の女性を描き、その背後に白い鳳凰を配しました。

2019年6月、《転法輪印・イラク(龍)》と対になる作品として制作し、同年10月、パリのCarrousel du Louvreで開催されたArt Shoppingで二作品を同時に発表しました。

二人の女性は、異なる国に生き、異なる文化の中で育っています。

私は二人を比較するために描いたのではありません。

遠く離れた土地に生きる二人が同じ転法輪印を結び、同じ場所に並んだ時、国名や文化、宗教といった違いの向こう側に、それぞれの人生を生きている一人の人間の存在を感じてもらいたいと思いました。

当初、この二作品には《転法輪印・イラク》と《転法輪印・キューバ》という国名を冠していました。しかしパリでの発表に際し、当時の国際情勢を背景に「イラク」という国名を使用しないよう求められ、《転法輪印・龍》《転法輪印・鳳凰》として発表しました。

現在は制作当初の意図に戻し、本作を《転法輪印・キューバ(鳳凰)》としています。

また、この作品を制作した頃は、「土彩画(Sacred Earth Painting)」のさまざまな可能性を模索していた時期でもあります。

土を使い始める以前から、私は木の支持体が持つ木目を残しながら描いていました。土を使うようになってからも、その美しい木目をすべて覆ってしまうのではなく、木と土の双方の表情を画面に生かしたいと考えていました。

この作品では、女性の身体の一部に木目を残す独自の表現を取り入れています。

描くことによって素材を覆い尽くすのではなく、もともとそこに存在しているものを生かしながら描く。

この時期の試行錯誤は、その後の土彩画へとつながる大切な過程のひとつとなりました。

作品概要

転法輪印 キューバ

素材:キャンパス・土・日本画煉絵具・アクリルエマルジョン・金箔

サイズ:S10

制作年:2019年

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