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絵画作品

登龍門

物語り

鯉は瀧を見上げて闘志に燃えていました。
これからこの瀧を登るのだと、握りこぶしを固く握りしめて、誰にも負けないと言い聞かせていました。

それから3年。

鯉はまだあの瀧の中を泳いでいます。
今も変わらず長く険しい滝登りですが、鯉は以前とは違う気持でいます。

握りしめていた握りこぶしはほどかれ、片手には物事を深く考察する様子を現す思惟手の印を現しています。

視線は心のうちに向けられて、激しい瀧の流れも、共に登る他の鯉の姿も感じられません。

静けさの中、鯉は自問自答しながら瀧を登っています。


なぜ瀧を登るのだろう。
登り切ったとき、鯉は龍になれた事に満足するのだろうか。

負けたくなかった。
認めてもらいたかった。
話しを聞いてもらいたかった。

そのためのはずだったのに。

龍になるために登り始めた瀧なのに、
この瀧を登る今この時間を最も欲していたのだと気づいたのです。


ずっと泳いでいたい。

それが、自分の求めていた幸福だと気づけて、私は幸せだと思うのです。


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背景に描かれた模様は青海波(せいがいは)といい、エジプトやペルシャをはじめ世界中で見る事ができる文様です。

青海波は広い海がもたらす恩恵を感じさせる柄とされ、無限に広がる波の文様に未来永劫へと続く幸せへの願いと、人々の平安な暮らしへの願いが込められた縁起の良い柄といわれています。


身体に施された模様は鱗文様(うろこもんよう)といい、正三角形や二等辺三角形を上下左右にに並べた柄で、やはり世界中で見る事ができる文様です。

蛇や蝶を連想させる鱗文様は、脱皮という意味合いから厄を落とし再生するという意味があります。

また、能や歌舞伎の鬼女や蛇の化身の衣装に使われており、女の執念を象徴する図柄としても有名です。

作品概要

登龍門

素 材:パネル・土・アクリルエマルジョン・日本画煉絵具・金箔・玉虫箔・アルミニウム箔
サイズ:P30

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