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絵画作品

環・愛情

物語り

世界の三大宗教をテーマとした三つの作品を制作しました。

仏教、キリスト教、イスラム教。
それぞれの作品では、その宗教文化と深く関わる花を女性の手に持たせています。
仏教には蓮華、キリスト教には白百合、そしてこのイスラム教をテーマとした作品には薔薇を選びました。

それぞれに異なる歴史や文化を持ちながら、人々が美しいと感じ、大切にしてきたものの中には、時代や国、宗教を越えて、どこか響き合うものがあるのではないか。

この三つの作品を制作する中で、私はそんなことを考えるようになりました。

この作品を制作するにあたり、それまで私にとって馴染みの薄かったイスラム文化や、モスクに見られる装飾について調べました。

そこで興味を惹かれたのが、イスラム圏の装飾文様と、私が以前から作品に描いてきた日本の更紗文様との間に、どこか通じ合う形があることでした。

文様は長い時間をかけて人から人へ、土地から土地へと伝わっていきます。
その土地の植物や文化と出会い、少しずつ姿を変えながら、新しい文様となって受け継がれてきました。

もしかすると、私たちが「美しい」と感じる感覚の中にも、時代や国、文化の境界を越えて、世界中で共有されている何かがあるのかもしれません。

この作品の光背には、江戸時代後期に日本で盛んに作られた堺更紗の文様を描きました。

そして女性のヒジャブには、日本で古くから吉祥文様として親しまれてきた「七宝紋」を描いています。

七宝紋は、同じ大きさの円が途切れることなく重なり合い、どこまでも連鎖していく文様です。その形には、円満や調和、人と人とのつながりや「ご縁」への願いが込められています。

私はこの終わりなくつながっていく円の形に強く惹かれ、その後も多くの作品にこの文様を描き入れてきました。

人と人だけではなく、動物や植物、自然環境、そして私たちを取り巻く世界そのものまで、あらゆる存在は無数の関係の中でつながり、互いに影響を与えながら存在している。

七宝紋の連なっていく円の中に、私はそんな世界の姿を重ねています。

女性が手にしている赤い薔薇には、この三部作に共通するもう一つのテーマである「愛」を重ねました。

異なる宗教や文化の間にも、境界を越えて響き合うものがある。

そして、この世界に現れるあらゆるものもまた、無数の関係の中から生まれるひとつの現象なのではないか。

この作品は、そんな世界を思いながら描いた一枚です。

作品概要

環・愛情

素 材:パネル・土・アクリルエマルジョン・日本画煉絵具・岩絵の具・金箔・アルミニウム箔

サイズ:P25

制作年:2019年

個人所蔵

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