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犀の角のようにただ独り歩め

物語り

スッタニパータ第一章・ 蛇の章の中で『犀の角』という一説があります。”貪ることなく、詐ることなく、渇望することなく、覆うことなく、濁りと迷妄とを除き去り、全世界において妄執のないものとなって、犀の角のようにただ独り歩め”といった具合に、短い詩の最後の部分に「犀の角のようにただ独り歩め」という節を繰り返しつけて書かれています。インドの林の中を一本角を持つ犀が一頭静かに歩いていく様を、全てを捨てて独り仏道を進む修行僧に重ね合わせているのではないかと言われています。

私にとってこの章は、今を生きる私たちへの応援歌のように聞こえます。今日の溢れる情報やSNSを含み複雑化した人間関係のしがらみの中で生きる私たちに、それらに依存すること無く個として自らの生きる道をどう進めば良いのかを指南していると解釈できるのではないかと考えました。私たちもこの一頭の犀のように、独り自分を律してこの社会の荒波を独歩している修行者として考えられるのです。

悟りを開く前にある修行者を菩薩と言います。独り歩む犀に金の袈裟を着せて蓮台に座らせ、修行中である菩薩として表現しました。光背は木の歴史が刻まれている年輪の形を辿って描いています。

一木に描く時は、ひとつとして同じ物が無い木の色や年輪など、その木の持つ個性を生かす構図を考え、素材との『一期一会』を特に大切に考えて制作しています。

作品概要

犀の角のようにただ独り歩め

素 材:木・アクリル・金箔
サイズ:約60cm×40cm

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