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絵画作品

愛のトンネル

物語り

この作品は、2022年世の中がコロナで息苦しさを感じている真っ最中に、さらに心を痛めるウクライナ侵攻のニュースを受けて描いた作品です。

さまざまなメディアがリアルタイムで戦争の現状を生々しく伝える映像に、あまりに自分の置かれている現状とかけ離れた日常を送る人々を見て私はとても困惑していました。

今、同じ時を過ごしているはずの人々の命が、海を渡ったほんの少し先でこんなにも違う扱いを受けているなんて信じられない気持ちでした。
恥ずかしながら、世界の情勢には全く無頓着だったため、戦争は愚かな行為の教訓として学んだ過去の過ちであり、もうこれからの未来には起きないと思っていたのです。

遺体が街のあらゆる場所に転がって、建物は無惨な瓦礫となり、その中に埋もれてしまった家族を泣きながら探す人の姿や、火炎瓶で降伏させたのであろう燃え落ちた装甲車の残骸。
どんどんSNSに流れてくる映像に、あまりに無知で無力な自分の愚かな存在に気持ちが悪くなりました。

せめて画家として今この時代に生きているのならこの惨事を描き残しておこうと考え破壊された街並みの中に立ち尽くす菩薩の絵を描き始めました。

そんな時に、藤田嗣治をはじめ多くの画家たちが日本軍の活躍を伝えるために戦場の最前線に送られ、戦争の様子を描かされた戦争画を思い出したのです。

惨事を描き残して何の意味があるんだろう。
この戦争から私は何を感じて何を考えているのだろう。
私だから描けるものは何だろう。

と自問するようになりました。


そして、ウクライナには『愛のトンネル』と呼ばれる美しい名所があることを知りました。

たくさんの人が愛を語り合い、この線路の上を手を繋いで歩いた記念写真がたくさんアップされていたのです。

この景色を見て、私はこの場所をバックに悲しみに満ちた眼差しをした人物を描いた方が、戦争の悲惨さを描くよりも戦争の悲惨さを伝えられるのではないかと考えたのです。

その悲しみに満ちた人物は人々を救済することを誓願に立てた菩薩を描くことにしました。

菩薩は如来になるためにそれぞれに請願を立て修行の日々を送っているとされています。

日々人々の幸せを願って修行をしてきた菩薩が、この世は少し賢く平和に向かっているのだと信じていたのかもしれません。
目の前で大量に人々が死んでいく様子を見ながら自分の無力さを痛感し悲しみに身が裂かれるような想いで、私たち人間の愚かな行為を見つめて立ち尽くしています。

それでも手を前に差し出して、私に何かできることはないだろうかと考えています。
修行者の証である蓮の蕾をしっかりと握りしめて。


宗教性を薄めるために聖観音菩薩を少女の姿にして表現しました。


今、この愛のトンネルがどうなっているのか、調べているのですが情報を見つけることができません。

菩薩が人々の愚かさに心痛めて砕け散ってしまわないうちに、世界中の戦争や内戦が終結しますように。
憎しみや恨みからは決して幸福が得られないということが世界共通認識になる日がいつかきますように。



実にこの世においては、怨みに報いるに怨みを以てしたならば、ついに怨みのやむことがない。
怨みを捨ててこそやむ。これは永遠の真理である。  (ダンマパダ 第1章 ひと組ずつ5句)




作品概要

愛のトンネル

素材:パネル・土・日本画煉絵具・アクリルエマルジョン・岩絵の具・金箔・玉虫箔
サイズ:F 50

ロンドン国際クリエイティブコンペティション ファイナル受賞

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