『映水・棚町宜弘展』スタート!!
祈りのある暮らしが感じられる展示が実現
10月28日からスタートした展覧会『映水・棚町宜弘展』の見どころをご紹介!!
なんといっても、今回の展示のすごいところは、絵師・仏師・花師のコラボが最強で最高だということ。
そして、会場である根津記念館が文化財として指定されるこの上なく美しい建築物であるということに尽きると思います。
今回は展示会場でよく使われる和室だけではなく、お風呂、お手洗い、お台所、仏間といった暮らしを感じられる場所にも展示させていただくことができました。
2019年から私がたびたびテーマにしてきた「祈りのある暮らし」を表現するのに、こんな絶好な会場はありません。
数年ぶりに楽しんで描いた小さな絵画の傍には彫刻や花が置かれ、その風景がまるで誰かと共に暮らした愛おしい時間を切り取ったような絵になっています。
お台所には私のお気に入りの小さな彫刻を並べ、絵画へと視線を誘うように絶妙な葉の角度で生けられた花が添えられています。さりげない展示ですが、私のいちばんのお気に入りスポットです。
お台所には昔きっとたくさんのご飯を煮炊きしたかまどが残されています。
見学に行った時に見つけた三宝荒神のお神馬に合わせて、興津日子命と興津比売命を描いた新作の『竈神』を展示させていただきました。その脇には宇宙をイメージした器と、秋の庭を思わせるような花が添えられています。
彫刻と花がその場所と絵画をつないで一つの絵画のように見せてくれる魅力を伝える展示は以前から表現してきましたが、ここまで暮らしと一体になった大規模な展示は初めてです。
美術館やお寺など、非日常的な空間での展示が続いていたので、飾られた作品たちの力が抜けた素顔を感じさせられる今回の展示は見ていてほっこりしてきます。
期間中に入れ替えになる作品も!!
今回の展示で初公開になる掛け軸『聖観音菩薩像』『釈迦誕生図』(法星院蔵/山梨・中央市)は、青山荘の入り口にある洋間脇のモダンな床間に飾らせていただいています。
お花は爆ぜた山椒の実。自然の織りなす黒と赤のコントラストが美しいです。
この掛け軸は途中で入れ替えさせていただきます。
前半は『聖観音菩薩像』を展示。12月に入ってからは『釈迦誕生図』に入れ替えをさえていただきます。
まだ青い葉が残ろる季節、紅葉にして真っ赤に変わる季節、葉が落ちて静かに冬へと向かう季節。それぞれの季節を中庭や庭園で感じていただけるのもこの展示の魅力の一つ。何度か足をお運びいただけた方だけが楽しめる特別な時間が用意されています。
もう一点、会期中に展示の入れ替えを予定しているのが新作『ベビー烏枢沙摩明王ちゃん』です。
現在は線描で書かれた烏枢沙摩明王が展示されていますが、土で描いた作品が仕上がり次第入れ替えになります。
会期中にご覧いただけるように制作をしておりますのでこちらも楽しみにしていただきたいポイントです!